§ シンガポール米朝共同声明1周年で、北朝鮮が見解を表明し国連文書として加盟国に配布した。
2019年6月12日は、歴史上初となる米朝首脳会談から1周年の日である。DPRK(以下、北朝鮮)は、1周年を機に6月4日に外務省報道官の声明を発表したが、6月6日、それを国連事務総長に送付し、国連総会及び国連安全保障理事会への公式文書として全加盟国に配布するよう要請した。国連文書番号A/73/894–S/2019/466[注1]。
マスメディアで全文が掲載される状況はないので、本「監視報告」では、論評無しに全文をそのまま掲載することにする。
[国連事務総長への手紙]
事務総長に宛てた、朝鮮民主主義人民共和国国連常任代表から国連への2019年6月6日付け書簡
朝米首脳会談に関する、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)外務省の報道官による2019年6月4日の報道発表を謹んで同封致します(附属書参照)。
第73回国連総会、議題項目66の文書として、また安全保障理事会の文書として本書簡とその附属書を回覧していただければ幸いです。
(署名)キム・ソン
大使
朝鮮民主主義人民共和国・国連常任代表
[国連事務総長への手紙に添付された付属書]
事務総長に宛てた、朝鮮民主主義人民共和国国連常任代表から国連への2019年6月6日付け書簡の附属書
朝鮮民主主義人民共和国外務省報道官による2019年6月4日付け報道発表
昨年6月にシンガポールで開催された歴史上初めての朝米首脳会談と協議は、朝鮮半島とその地域の平和と安定を促進し、和解と協力の歴史的な潮流を創る上で偉大な意味をもつ重要な出来事でした。
朝米首脳会談と協議で採択された6月12日朝米共同声明は、世界のすべての国々と人々の全面的な支持と承認を得ました。それは、最も敵対的な関係にある国々でさえ、一たび平和と安定を守るための政治的な決定的措置を最優先事項として講じれば、新しい関係を確立するための道を切り拓くことができることを実際に証明したからです。
広く国際社会で認められているように、DPRK政府は、過去1年間にわたり、6月12日の朝米共同声明で規定されたように、新たな朝米関係の樹立、朝鮮半島の持続的かつ安定的な平和体制の構築と朝鮮半島の非核化の達成に向けて絶え間ない努力をしてきました。また、戦略的に決定的な措置を必要とする実際的イニシアチブをとるなど、DPRK政府はあらゆる可能な努力をしました。
しかし、残念ながら、米国はこの1年の間、共同声明の履行から故意に顔をそらし、一方的に我々が核兵器を差し出すよう主張しながら、力で我々を滅ぼす計画にこれまで以上にあからさまになってきました。
世界全体の大きな関心と期待の中でハノイで開催された2回目の朝米首脳会談では、米国は「先ず先に核兵器解体」を主張して、生涯にない機会を逃したという最大の過ちを犯しました。
これは朝米協議の将来に影を落とします。
朝米共同声明を履行する真剣な立場と誠実な態度に基づいて、米国が問題に取り組むために少しでも助けになることをしていたならば、朝鮮半島の非核化問題もまた大きく進歩を遂げたかもしれません。
朝鮮民主主義人民共和国の国務委員会委員長同志は、彼の歴史的な政策演説の中で、DPRKと米国の間に根深い敵対関係が持続していることを考えると、6月12日の朝米共同声明の履行には、双方が一方的な要求を放棄し、互いの利益に合致する建設的な解決策を見出すことが必要であると述べました。
そして彼は、この目的の達成のために、米国が現在の計算方法を折りたたみ、新しい計算方法をもって我々に接してくることが必須であると述べました。
6月12日の朝米共同声明は、両国が世界と人類に誓った誓約であり、双方が共同で責任を負うべき課題です。
DPRKは、史上初の朝米首脳会談でDPRKと米国の最高指導者が直接署名した6月12日朝米共同声明を大切にし、誠意をもって実行するという立場と意志に変わりはありません。
しかし、もし対話の相手である米国が自らの義務を果たさず、DPRK敵視政策をとり続けた場合、朝米共同声明の運命は有望ではなくなるでしょう。
6月12日朝米共同声明が引き続き有効であるのか、それとも一枚の単なる白紙になるのかは、米国が我々の公正で合理的な立場にどのように応えるかによって決定されるでしょう。
歴史的な6月12日朝米共同声明の布告からおよそ1年が経ったいま、米国はこの1年を正しく振り返り、手遅れになる前に、どちらが正しい戦略的選択であるかを熟考するべきです。
米国は現在の計算方法を変更し、できるだけ早く我々の要求に応えることが賢明であると思われます。
我々の忍耐力には限界があります。
(原文英語)
訳:ピースデポ