2022/12/26

監視報告 No.36

 監視報告 No.36  2022年12月26日


§米韓合同軍事演習の中止表明が緊張緩和への第一歩となる
 
 朝鮮半島の緊張緩和が求められている。
 米韓合同演習は在日米軍・自衛隊を巻き込んでエスカレートし、朝鮮人民民主主義共和国(DPRK、北朝鮮)は核戦力政策法を制定し、記録的なミサイル発射を繰り返している。国際社会の傍観は許されない。朝鮮半島情勢の改善に向けた方策について、具体的な知恵を絞る必要がある。

2022年8月下旬以降、朝鮮半島情勢は緊迫の度を高めた。米韓両軍は822日から91日にかけて大規模な合同軍事演習「ウルチ・フリーダム・シールド」を実施した。同演習では、指揮所演習に加え、北朝鮮に攻め込むことを想定した演習を含む大規模な野外機動演習が4年ぶりに行われた。その背景には20225月に対北朝鮮強硬派の尹錫悦が韓国大統領に就任したことがある。
 一方で、北朝鮮では、98日、先制核攻撃を容認する「核戦力政策に関する法令」が公布された[1]。それに対し、米韓両国は外務・国防次官級による「拡大抑止戦略協議体」会合(916日)を開催。北朝鮮による同法令制定に「深刻な懸念」を表明するとともに、北朝鮮の核攻撃には「圧倒的かつ断固とした対応」をとるとした。その一週間後(923日)、日本の横須賀を母港とする米原子力空母ロナルド・レーガンが釜山に寄港し、約5年ぶりに米韓海軍合同演習(926日~29日)に参加した。北朝鮮は、おそらく同演習に対抗して、戦術核運用部隊の発射訓練(925日~109日)を実施した。その後も北朝鮮と日米韓、とりわけ、米韓との間で言葉の応酬と軍事的応酬が続いている[2]
 また、1113日には日米韓首脳がプノンペンで5年ぶりとなる共同声明を発した[3]。それが示すように、日韓2国間の軍事協力に対する歴史的な障壁は尹政権のもとで崩れつつあり、この地域における3か国の軍事協力が顕在化していることも、見逃してはならない新しい傾向である。日本の関与の深まりに対して北朝鮮は警戒を強めている[4]
 こうした軍事的緊張が続けば、誤認や誤算による武力衝突が起こりかねない。核兵器使用へのエスカレーションも排除できない。そうした危険を防ぐために、いま何が必要なのであろうか。

 北朝鮮の「核戦力政策に関する法令」
 まず、202298日にDPRK最高人民会議が採択し、同日に公布された「核戦力政策に関する法令」(「核戦力政策法」あるいは「新法」)の危険性を具体的にみておこう。
 この法律は、201341日に公布された「自衛のための核兵器国地位確立法」(以下、旧法)にとって代わるものである[5]。旧法は、核兵器を米国の敵視政策と核の脅威に対する「防衛手段」(第1項)と明記し、侵略の抑止と攻撃の撃退に使用する(第2項、第4項)と述べるに留まっており、核兵器を実際に使用する条件を法制化する段階には至っていなかった。それに対して新法は、核兵器の基本的使命を戦争の抑止と抑止が破れたときの撃退であるとする点は変わっていないものの、核兵器を実際に使用するに至る判断に関する原則や具体的条件を定めている。その部分に多くのリスクが存在する。
 まず、核兵器に対する核兵器の使用に関する基本原則については、修辞的な違いを削いでしまえば、米国などの使用原則と本質的には違わない。核兵器国(米国が念頭にある)が、通常兵器であっても北朝鮮に対して重大な侵略と攻撃を行った場合、「最後の手段」として核兵器を使用する。また、核兵器国(米国)と結託した非核国(韓国や日本)の攻撃も核兵器使用の対象となることが述べられている。いわゆる、核兵器の先行使用についての躊躇は見受けられない。
 次に新法第6項は核兵器の使用条件を列挙している。これを読むと、北朝鮮は核兵器の「先行使用」のみならず、核兵器によって戦局を決定的に変えようとする「先制使用」[6]を許容していることがわかる。「戦争の拡大や長期化を防ぎ、戦争の主導権を掌握するための作戦上」の使用(第64)という考え方がそれである。
 また、新法においては、使用条件に基づいて核兵器の使用を決定するプロセスにおいても重大なリスクを孕んでいる。新法の第62は、「国家指導部と国家核戦力指揮機構に対する核および非核攻撃が強行されたり差し迫ったと判断される場合」には核兵器を使用することができるとしているが、指揮統制システムが「危機に瀕する場合、事前に決まった作戦方案にしたがって…核打撃が自動的に、即時に断行される」(新法、第33)と定めている。すなわち、金正恩自身あるいは彼が使用する指揮統制システムに危害がおよび、最高権力者の指揮統制が不能になったときには、事前に定められた核攻撃計画が自動的に即時に実行されるというのである。この危機事態の到来を発射実行部隊の司令官はどのように知るのか、後述するように多数の核ミサイル部隊が存在すると考えられる中で、上級司令官から末端司令官への命令伝達チェーンの合理的な自動化とは何か、またどのように可能か、それが戦時に正しく働くことがいかに保証されるか、などの疑問が生じる。このような疑問に応えるための情報はまだない。しかし、一人に絶対的な権力が集中した北朝鮮のような国家における戦略的のみならず戦術的核兵器発射の指揮統制には、このような避けがたいリスクが伴うであろうことは十分に予想される。
 「核戦力政策法」が公布されてから約2週間後に行われた北朝鮮の核兵器部隊の実戦訓練は、このようなリスクの存在を裏書きするものであった。

 戦術核部隊の実戦的発射訓練
 20221010日の朝鮮中央通信(KCNA[7]によると、朝鮮労働党中央軍事委員会(委員長:金正恩)は925日から109日にかけて、「戦術核作戦部隊の発射訓練」を行った。KCNAはその期間に行った7回の戦術核ミサイル発射の訓練目的や内容を説明した。因みにKCNA報道と発射の度に出された韓国軍などの情報を重ねると、この間に発射した核弾頭搭載可能な弾道ミサイルは12発であり、飛行距離300360kmの近接距離弾道ミサイル[8]9発、600km800kmの短距離弾道ミサイル[9]が各1発、4600kmの中距離弾道ミサイル[10](日本列島越え)1発であった。
 KCNAは、戦術核作戦部隊の発射訓練は「戦争抑止力と核反撃能力を点検し、それをもって敵への厳しい警告とするため」であり、「さまざまなレベルで実際の戦争のシミュレーションのもとで」行ったと述べている[11]。しかし、記事を読むと、すべての発射訓練がすでに作戦配備されている核兵器を扱う部隊の訓練とは言い難い。例えば、驚きをもって受け止められた貯水池からの水中発射については「貯水池下の計画されているサイロ建設の方向性が確認された」[12]と説明されていることから推察すると、実戦的フィージビリティ・テストの性格をもつ発射であったと考えられる。また104日の日本列島越えの「新型中距離弾道ミサイル」の発射は、戦術的訓練と呼ぶよりも日本やグアムを標的にした戦略的攻撃能力を誇示する「(敵への)より強力で明確な警告」[13]という政治的意図をもった発射であった。
 他の戦術核発射の部隊訓練に関しても、1010日のKCNAの報道は、北朝鮮がすでに戦術核を実戦配備し、使用の準備ができていることを米・韓・日に誇示するための、戦争抑止目的の側面が強いことを印象づける。(さらに言えば、前述した「核戦力政策法」の公布という行為自体にも、そのような対外的な戦争抑止の狙いを読み取ることができる。)
 核部隊訓練の性格に関してこのような留保を前提とした上で、それでも訓練内容には北朝鮮の核兵器使用に関して見逃すことのできないリスクを指摘することができる。
 1010日のKCNA報道を分析すると、訓練内容は多岐にわたっている。訓練内容には、核弾頭の弾薬庫からの取り出しと運搬、核弾頭のミサイル本体への装着、標的の選定と核爆発様態(空中爆発、直接攻撃、牽制攻撃など)の決定、決定内容にしたがった発射部隊の特定と命令の伝達、発射台の移動、発射手順の確認と実行、ミサイルの動作と威力の評価などが含まれている。
 さらに、韓国軍の発表では、7回の発射は少なくとも6か所の異なる地点―泰川テチョン順安スナン三石サムソク順川スンチョン舞坪里ムピョンリ文川ムンチョンから発射された。異なる地点からの発射は異なる部隊による発射であると考えられるので、戦術核発射部隊の数は相当数に上るであろう。複雑な発射手順を伴う指揮・統制の体制、とりわけ最高司令官を含む体制の一部に事故があったときに体制が正しく機能しないリスクは極めて高い。北朝鮮の戦術核発射ミサイルの多くは、戦時において圧倒的多数の通常弾頭を発射するミサイルと両用のミサイルであることを考えると、戦時における誤発射のリスクはさらに高まる。
 KCNA報道は、訓練において想定された核攻撃の標的についてもいくつかの具体例を示した。600㎞(韓国軍報道)を飛行した短距離弾道ミサイルの標的を、日本海(東海)の特定の高度の上空に設定した925日の発射は、当時繰り返し展開した米原子力空母を空中核爆発で破壊するシナリオであった可能性が高い[14]。作戦地域内にある韓国の空港を近接距離弾道ミサイルで核攻撃する発射訓練を、爆発様態を変えて数回行っている。また、近接距離および短距離弾道ミサイルを用いて敵の主要軍事司令部を想定した発射訓練を行った。このときの短距離ミサイルの一つは800㎞を飛行したとされる(韓国軍)が、この距離は佐世保、岩国などの在日米軍基地に達しうる距離である。さらに敵の主要港湾を想定した近接距離ミサイルの発射訓練も報告されている。北朝鮮自身が「実際の戦争のシミュレーション」と述べているように、これらの標的設定は極めて実際的であり、実行可能なものである。

当面の至上命題:緊張緩和と武力衝突回避
 以上で説明してきたように、北朝鮮の「核戦力政策法」や「戦術核作戦部隊の訓練」は、朝鮮半島における核兵器使用に関するリスクは、意図的にも事故や偶発的にも高まっていることを示している。
 加えて、リスクを高める重要な要因として、北朝鮮の「核戦力政策法」や「戦術核作戦部隊の訓練」の報告における表現や言説に見られる際立った特徴を指摘したい。それは、使用に関する言説が極めて直截的であり、核兵器使用がもたらすであろう国際人道法上の諸問題への配慮や躊躇がほとんど見られず、使用決定への敷居が極めて低い点である。断っておくが、これをもってDPRKやその指導者が非人道的であるとするような主張に筆者は与しない。DPRKが国連憲章の差別なき公平な適用を国連総会においても安保理においても繰り返し求めていることが示すように、私たちが考えるべき本質的な問題は別のところにある。
 北朝鮮の核兵器言説の特異さは、北朝鮮が巨大な力の差のある軍事強国と70年近く体制維持のために戦ってきた歴史から生まれている。米国、韓国、日本を合わせると、3か国は北朝鮮の500倍以上の軍事費を費やしている軍事同盟である。この絶望的な不均衡の中から核兵器の破壊力を絶対視する北朝鮮の政策が生まれている。
 この敵対関係を平和的に解消することが国際社会の目指すべき課題であるが、そのためには、まず現にある核兵器使用のリスクを軽減する必要がある。そして、その軽減努力が次の外交的ステップへのドアを開くような道筋を構想する必要がある。
 このような理由から、現局面における国際社会の優先的課題は朝鮮半島における武力衝突の可能性を無くすることであろう。武力衝突は核兵器使用局面に至る入口にあるリスクである。そのために、米国と韓国は朝鮮半島および周辺における合同軍事演習を当面の間中止することを表明すべきである。同時に米国、韓国、日本は朝鮮半島の軍事的緊張を高める言説を止め、緊張緩和に努めるべきであろう。
 北朝鮮の5か年計画にそった軍事力強化は続くであろう。好ましいことではないが、軍事圧力と経済制裁の繰り返しでそれを止めることができないことは、すでに繰り返し経験したことである。
 北朝鮮が外交に復帰する意思がないという懸念は、当面は当たっているであろうが、決定的なものではない。金正恩は98日の演説で「先に核兵器を放棄したり非核化するようなことは絶対にあり得ない」[15]と述べた。しかし、たとえば金正恩は、2017年に「いかなる場合にも、核兵器と弾道ミサイルは交渉のテーブルには乗せず、自ら選択した核戦力強化の道を一歩も譲ることはない」と主張していたが、それは「米国のDPRKへの敵視政策と核の脅威が明確に終了しない限り」[16]という条件の下においてであった。事実、翌年、南北の板門店宣言、またシンガポールでの米朝首脳声明で、その条件を満たすことと引き換えに、朝鮮半島の完全な非核化に合意した。
 北朝鮮は一貫して米韓合同軍事演習の中止を求めてきた。軍事的衝突と核兵器使用リスクを回避し、緊張を緩和し、次の外交ステップへの入り口を作るために、米韓はまず合同軍事演習のモラトリアムを表明すべきである。来年の米韓合同野外演習のスケールを拡大するという最近の韓国国防部の発表[17]は、まったく逆の方向を示すものであり、強く再考を求めたい。(渡辺洋介、梅林宏道)

注1 “Law on DPRK's Policy on Nuclear Forces Promulgated,” KCNA, September 9, 2022.
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm から日付により検索。
2 例えば、111日、朝鮮労働党中央委員会のパク正天ジョンチョン書記は、米韓が北朝鮮侵略を意図した軍事的挑発を続けるなら、史上最もぞっとする代償を払うことになると発言した。それを意識してか、米国のオースティン国防長官は、113日に発出した米韓定例安保協議共同声明で、北朝鮮による米国と同盟国への核兵器の使用は受け入れられず、そうなれば金正恩体制の終焉を意味するだろうと述べた。
3 「インド太平洋における3か国パートナーシップに関するプノンペン声明」
https://www.mofa.go.jp/files/100421321.pdf
4 “KCNA Commentary Slashes Japan’s Moves against DPRK and Chongryon,” KCNA, November 16, 2022. “Press Statement of DPRK FM,” KCNA, November 17. 2022.
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm から日付により検索。
5 “Law on Consolidating Position of Nuclear Weapons State Adopted,” KCNA, April 1, 2013.
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm から日付により検索。日本語訳は、梅林宏道『北朝鮮の核兵器世界を映す鏡』(高文研、2021年)の232-233頁を参照。
6 多くのメディア報道では、「先行使用あるいは第一使用」(first use)」を「先制使用」(preemptive use)と述べている。しかし、この2つは異なる概念であり、明確に区別して使用すべきである。
7 “Respected Comrade Kim Jong Un Guides Military Drills of KPA Units for Operation of Tactical Nukes,” KCNA, October 10, 2022.
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm から日付により検索。
8 米国防総省の定義では射程0500㎞の弾道ミサイル。
"United States Government Compendium of Interagency and Associated Terms"
https://www.jcs.mil/Portals/36/Documents/Doctrine/dictionary/repository/usg_compendium.pdf?ver=2019-11-04-174229-423
9 射程5001100㎞の弾道ミサイル。同上。
10 射程27005500㎞の弾道ミサイル。同上。
11 注7と同じ。
12 同上。
13 同上。
14 「北朝鮮 日本の上空通過は『新型の中距離弾道ミサイル』」、NHK20221010日。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221010/k10013854001000.html
15 “Respected Comrade Kim Jong Un Makes Policy Speech at Seventh Session of the 14th SPA of DPRK,” KCNA, September 10. 2022.
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm から日付により検索。
16 “Kim Jong Un Supervises Test-launch of Inter-continental Ballistic Rocket Hwasong-14,” KCNA, July 5, 2017.
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm  から日付により検索。
17 “S. Korea, U.S. to develop 'realistic' training scenarios on N.K. nuke, missile threats,” YONHAP NEWS, December 21, 2022.
https://en.yna.co.kr/view/AEN20221221004700325?section=news

2022/07/29

監視報告 No.35

監視報告 No.35  2022年7月29日


§朝鮮半島の2018年を無にしない国際的努力が必要である。6か国協議再開にむけて中国と米国のイニシャチブが求められる。

2018 年合意は失われたのか?
 2022年3月24日の朝鮮民主主義人民共和国(DPRK、あるいは北朝鮮)のICBM発射テストは、ICBMが新型であったかどうかの議論はさておいて、一つの重要な節目となる政治的できごとであった。
 それが戦略ミサイルの単なる一発射実験ではなくて、DPRKが政治的意図を込めた行動であったことは、発射を報じた『朝鮮中央通信』のものものしい書きぶりからもうかがうことができる[注1]。
 「敬愛する金正恩同志は、水曜日(注:3月23日)、DPRK戦略軍の新型ICBMの発射実験を行うよう命令書を発した。木曜日(注:3月24日)、金正恩同志は発射地点を訪れ、自ら新型ICBMファソン17号試験発射の総手順を指導した。
 変化し続ける国際政治情勢に対する彼の深い洞察、日々高まる朝鮮半島及び周辺での軍事的緊張、そして核戦争の危険をともなった米帝国主義者との避けることのできない永年の抗争から生じる朝鮮革命の長期的要求にかんがみて、金正恩総書記は歴史的な第8回労働党大会において、主体思想に基づく国防発展戦略と長期にわたる核戦争抑止力の強化政策を打ち出した。…」
 政治的、戦略的意図を明確にしたICBM発射実験のこの公式発表は、DPRKが、2018年4月以来、外交のための信頼醸成措置として自主的に取り組んできたICBM発射実験と地下核実験のモラトリアムを明確に破棄したことを意味している。
 すでに1月19日に、朝鮮労働党中央委員会政治局会議は、このような「信頼醸成措置」をすべて見直し、「暫定的に中止している全ての活動を再開」することを「早急に検討」するよう関連機関に指示していた[注2]。これが実行されたのが、3月24日の節目と理解することができる。
 この節目は、北朝鮮は2017年のような瀬戸際外交に戻ろうとしていることを意味するのだろうか?
 そうではないであろう。今年の年明け早々、1月5日に極超音速ミサイルの発射実験を行ったのを皮切りに、北朝鮮がかつてないペースで戦術誘導弾や中距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返してきた。メディアのなかには、これを北朝鮮が米国を制裁緩和などへの交渉の場に引き出すための圧力であると示唆する報道もある[注3]。しかし、一連のミサイル発射は、もちろん望ましい事ではないが、米朝、南北関係の改善が見込めない中で朝鮮労働党大会において決定された戦争抑止力強化路線が実践されている姿として、冷静に受け止めるべきものであろう。
 2021年1月の第8回労働党大会は、2016年大会における「国家経済発展5か年戦略」が人民の生活水準向上に具現されるべき社会主義建設に失敗したことを公式に認めたうえで、「国家経済発展5か年計画」を策定した。そのなかで軍事力強化についても具体的な目標を掲げた。「核兵器の小型・軽量化、戦術兵器化」、「超大型核兵器の生産」、「極超音速滑空ミサイルの開発」、「水中及び地上発射の固体燃料ICBMの開発」、「原子力潜水艦と水中発射戦略兵器の保有」「軍事偵察衛星の運用」「無人偵察機の開発」などである[注4]。外交による緊張緩和が生まれない限り、これらの目標に向かって軍事力強化が進行することを、私たちは残念ながら冷静に受け止めざるを得ない。米国など核保有国の核兵器近代化が進行するのと同じ力学である。
 しかし、同時に、この党大会の決定については次の2点を忘れてはならないであろう。第1点は、北朝鮮にとって5か年計画の最重要課題は軍事ではなく、あくまでも人民の生活水準向上につながる経済建設であること、第2点は、それを担保する対米政策は「敵視政策の撤回を求め…力には力、善意には善意」の原則で臨むとしていること、である。つまり、外交の可能性が明確に示されている[注5]。
 一方では、ミサイル実験の頻発は、経済発展5か年計画において、軍事分野がもっている特性が関係していると考えられる。人民の生活水準の向上につながる農業を含む産業分野は、目に見える中間的な成果を短期に示すことはもともと困難な分野である。その上に気候変動の影響をうけた自然災害や新型コロナウィルスへの対応、長引く経済制裁などの悪条件のなかで、金正恩体制は計画の進捗の管理に困難を見出していると考えられる。そんな中で軍事技術開発部門は中間的な過程を成果として見せやすい分野であるため、党組織運営のなかでことさら目立った扱いを受けている可能性がある。

尹錫悦政権のもとにおける米韓の動向
 2022年5月、2018年首脳合意を牽引した韓国の文在寅大統領が退き、保守の尹錫悦大統領が政権の座に就いたことは、合意の行方に大きな変化を生み出している。
 尹大統領は、大統領選挙のころから文在寅政権の対北朝鮮融和政策を批判してきた。就任直後の5月21日にソウルで行われたバイデン大統領との首脳会談においては、米韓の北朝鮮政策が明確に変化したことを共同声明において打ち出した[注6]。
 まず、共同声明には書かれなかった重要なポイントがあることを指摘する必要がある。ちょうど一年前の2021年5月21日、ワシントンDCにおいてバイデン・文在寅の米韓首脳共同声明が発表された。そこでは両首脳は次のように2018年首脳合意の継承を明記した[注7]。
 「我々はまた、2018年の板門店宣言やシンガポール共同声明のような、南北朝鮮間や米朝間の約束に基づく外交と対話が、朝鮮半島の完全な非核化と恒久平和の確立を達成するために不可欠であることを、再確認する。」
 これに反して、バイデン・尹共同声明は、2018年合意について一言も触れなかったのである。そして、北朝鮮政策に関して述べた内容は、簡単に言えば、国際的な制裁圧力と米韓合同の軍事圧力の強化という、2018年首脳合意以前の方針への回帰であった。
 軍事的側面では、共同声明は抑止力強化について具体的な記述に踏み込んだ。ハイレベルの拡大抑止戦略協議の復活、米韓合同軍事演習の規模と範囲の拡大に向けた協議の開始、米国の戦略兵器の必要に応じたタイムリーな配備の確認、などである。
 これらの合意に沿って、すでに歴然とした変化が現れている。4月に行われた10日間の合同訓練は実働部隊が参加しない机上の指揮所訓練であったが、6月上旬には、横須賀を母港とする米空母ロナルド・レーガンに韓国のイージス駆逐艦・世宗大王(セジョンデワン)が主力として加わった米韓空母打撃群合同演習が行われた。また、北朝鮮がミサイル発射を行ったときには迅速に米韓合同の軍事的反撃態勢をとるという新しい示威行動を始めた。これは、ミサイル発射に対して米韓のミサイル発射で応えるだけではなく、北朝鮮に対して圧倒的優位に立つ空軍力による空爆の示威へとエスカレートさせたものである[注8]。
 一方、経済制裁に関しては、首脳共同声明は「両首脳は今年の弾道ミサイル実験のエスカレーションは…明らかな国連安保理決議違反であると非難する」と述べ「すべての国連加盟国に、すべての安保理決議の完全履行を求める」と述べた[注9]。つまり、史上最強と言われる安保理の制裁決議を、国連加盟国すべてが履行すれば、北朝鮮は屈服するはずであるという、歴史的にはすでに失敗が証明されてきた願望に基づく方針を繰り返しているに過ぎない。

ミサイル発射を罰する安保理決議、弱まる妥当性
 後述するように、弾道ミサイル発射に対して制裁を課す安保理決議は、もともと説得力のある根拠に乏しい。それに加えて、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が国連安保理にもたらした政治的分断の拡大は、制裁決議の履行をますます困難にしている。
 5月26日、国連安保理は、米国が提出した新たな対北朝鮮制裁強化決議案(S/2022/431)を、13対2で否決した。中国とロシアが、近年の主張の延長であるが、一連の制裁決議では初めて拒否権を行使したからである。これを受けて6月8日、拒否権行使をめぐる議論を行うための史上初の国連総会が開催された。このような拒否権行使の是非を論じるための国連総会は、ロシアのウクライナ侵攻に対処するために開かれた2月25日の安保理が拒否権によって何ら行動できなかった事態を受けて、開催が制度化されたものである。すなわち、国連総会は、4月26日、拒否権行使があったときには、総会議長が10仕事日以内にその問題を協議するための総会を招集することを義務づけたのである[注10]。北朝鮮への制裁決議がこの最初の適用例となった。
 この総会では、ロシア、中国とともに北朝鮮も、それぞれの立場を表明した[注11]。例えば中国は、米国が北朝鮮の合理的な懸念を無視したことが現在の情勢の要因であり、制裁緩和や合同軍事演習の中止など、米国が実際に行動で対話姿勢を示す必要があると主張した。発言をした大多数の参加国は、過去の安保理決議に違反する北朝鮮に対する批判と各国の決議順守を要求した。にもかかわらず、冷静に議論に耳を傾けたとき、提案された制裁決議が問題解決のために有効ではないというロシアや中国の説明に、一定の説得力があることを否定することは難しい。今後、北朝鮮のミサイル発射に関して新しい制裁決議が安保理の拒否権で繰り返し否決され、そのたびに国連総会において同様な討論が行われるとすれば、制裁決議は適切さを欠いているという認識が、より多くの国に共有されてゆくと予想される。
 もともと、今日の国際社会において、ミサイル発射に対して安保理決議による制裁を加えることには限界がある。核兵器開発や核実験の問題とはちがって、ミサイルそのものを規制する規範的な国際合意は存在しないからである[注12]。
 国際社会におけるミサイル兵器の規制は、一般に、大量破壊兵器の運搬手段としてのミサイルに関わってのみ行われてきた。現在の国際社会におけるミサイル規制は、残念ながらそのような限界の中にある。よく知られているミサイル技術の管理レジーム(MTCR)もハーグ行動規範(HCOC)も同様な枠組みの中にある。MTCRは、ガイドラインにその目的を「大量破壊兵器運搬システム(有人航空機を除く)に寄与しうる移転を規制することによって、大量破壊兵器の拡散を規制する」と明記し[注13]、HCOCは、「大量破壊兵器を運搬する能力をもつ弾道ミサイルシステムの拡散を包括的に防止し、抑制する」ことを規範の原則として掲げている[注14]。したがって、ミサイル発射を規制する安保理決議の決定も、その限度の中に留まらざるを得ないであろう。
 北朝鮮に対する安保理制裁決議の場合においても、決議1718(2006)に始まって決議2397(2017)に至る10件の全て[注15]において、大きく言えばこのような文脈のなかに置かれていると言えるであろう。すなわち、全ての決議は、冒頭に「核兵器、化学兵器、生物兵器、及びその運搬手段の拡散が国際の平和と安全に対する脅威であることを再確認し」と述べ、決議全体の文脈を形成しているのである。
 しかし、北朝鮮に対しては、この文脈を超えて、核兵器運搬手段であるか否かを吟味することなく、ミサイル発射一般に制裁を課すことにつながる決議主文が採択されていった。それが可能になったのは、北朝鮮の核実験への非難とミサイル問題が、巧みに結び付けられてきたからであろう。この背景には、米国や日本による外交的働きかけが強く作用してきたと考えられる。
 ミサイル発射に自動的に制裁を課す文脈の形成は、2つの安保理決議によって行われており、そのいずれも北朝鮮によるミサイル発射ではなく、核実験が引き金になっていた。その他の8決議の内容は、この2つを踏襲して積み重ねられている。
 1つ目は、最初に採択された決議1718(2006)であり、北朝鮮の第1回核実験を契機として採択された。そして「DPRKは今後いかなる核実験も弾道ミサイルの発射も行ってはならない」と要求した。ここで弾道ミサイル一般が禁じられる流れが作られた。2つ目は、決議1874(2009)であり、北朝鮮の2回目の核実験を引き金として採択された。今度は「DPRKは今後いかなる核実験も、弾道ミサイル技術を用いたいかなる発射も行ってはならない」と禁止の範囲をさらに拡大させた。宇宙ロケット発射を含め、弾道ミサイル技術を用いる一切の発射を制裁の対象とする素地が作られた。
 このように国際社会で一般に禁止されず容認されている行動を、特定の国に対してのみ無条件に禁止することの妥当性は、常に検証される必要がある。ミサイル発射の場合、それに制裁を加えるとすれば、そのミサイルが大量破壊兵器の運搬手段であるか否かについての判断を下す公正なメカニズムが、困難であっても求められる。
 安保理には、周知の通り、国際の平和及び安全を維持するために、どのような非軍事的措置(国連憲章第41条)あるいは軍事的措置(同第42条)をとるかを決定できる大きな権限が与えられ(同第39条)、その「決定」は加盟国を拘束する(同第25条)。こうした大きな権限を有する安保理が下す決定の公正性は、制裁対象国ばかりでなく国際社会に対する影響力が大きい。したがって、安保理決議による規定は、国際社会にゆきわたっている規範の現状に即した公正なものでなければならず、大国の都合や一部の国の思惑で歪められるようなものであってはならない。
 さらに上記のような原則的な理由の他にも、実際的な矛盾も表面化している。
 すでに触れたように、5月25日と6月5日の北朝鮮の短距離ミサイル発射に対して、米韓が合同でミサイルを発射して即応体制を誇示した。また、昨年の9月15日には、北朝鮮が短距離ミサイルを発射したのと同じ日に、韓国が潜水艦発射弾道ミサイルの発射テストを行った。なぜ、北朝鮮のミサイル発射だけが制裁を受け、朝鮮半島における韓国や米国の同じ行為が許されるのか、公正な判断基準を求める国際社会の要求が、いっそう強まらざるをえない。北朝鮮のミサイル発射への制裁に関する説得力は、今後ますます失われるであろう。

共通の地域安全保障への取り組みこそウクライナの教訓
 バイデン政権も尹政権も、対北朝鮮政策に関して、今のところ、失敗が運命づけられている政策―経済制裁と軍事圧力―しか打ち出せていない。尹大統領は見返りの大胆な経済支援を強調しているが、北朝鮮が先に「完全非核化へのプロセスに真摯に取り組む」ことを条件にしており[注16]、この一方的な打ち出し方では北朝鮮の変化は期待できない。両首脳は、「DPRKに対する平和的、外交的解決に向けて対話の道は開かれている」[注17]と述べているが、本報告で繰り返し述べてきたように(例えば監視報告32、33)、北朝鮮は対話のための具体的な信頼醸成の措置(核実験とICBM発射のモラトリアム)をとったことに対して、米国が誠意を示す番だと主張してきた。この現状では、対話は実現しないであろう。結果として、北朝鮮は自衛のための核抑止力の強化を続けることになる。
 ここで、今後の進むべき方向を考えるために、米韓首脳共同声明に示されている一つの手掛かりに注目したい。それは「尹大統領とバイデン大統領は朝鮮半島の完全な非核化という共通の目標を繰り返し述べるとともに、この目的にむかって緊密なる調整を一層強めることに合意した」という一文である[注18]。一見、何の変哲もない一文であるが、「北朝鮮の完全な非核化」ではなく、「朝鮮半島の完全な非核化」と述べていることに重要な意味がある。尹大統領は、大統領就任演説においても、マドリッドにおけるNATO首脳会議における発言においても[注19]、「北朝鮮の非核化」と述べてきており、これまで一貫して「朝鮮半島の非核化」という目標を掲げていない。にもかかわらず、共同声明がこの文言を採択したのは米国の主張の反映と考えてよい。
 北朝鮮が否応なく核戦略強化を続けるとき、尹政権の背後にある韓国の保守勢力は、韓国自身の核保有の主張を強め韓国世論がそれに傾く危険がある。そうなれば日本にも波及する核のドミノの悪夢が始まる危険がある。バイデン政権としては、それを避けるためには韓国も含めた「朝鮮半島の非核化」に尹政権もコミットさせる必要があったであろう。
このように「朝鮮半島の非核化」が必要な目標であるとすれば、その方向で南北朝鮮と米国が首脳レベルで合意した2018年合意が依拠すべき基礎であることは、余りにも明らかであろう。
 述べてきたように、2018年の首脳合意は、米国、韓国、DPRKのいずれによっても破棄されていない。必要なのは、それを生かす新しい構想とイニシャチブである。
 ロシアのウクライナへの軍事侵攻を好機として、東アジアにおいては中国の台湾への軍事侵攻の可能性の議論を煽り、それを理由とした軍事力の強化、防衛予算の増強の動きが強まっている。しかし、それと同時にそのような軍事力を糾合する同盟の論理こそ、ウクライナにおける戦争を招いているという議論もまた強まっている。東アジアにおいては、今回のウクライナ侵攻が始まるより以前から、米国がリードする中国包囲戦略は始まっており、米国の朝鮮半島政策の背後にもその力学が働いていることは否定できない。このような状況を考えると、2018年の首脳合意は、朝鮮半島のみならずこの地域における軍事的緊張のさらなる激化を抑え、関係国が受け入れることのできる共通の安全保障システムを構築するための貴重な基礎的合意ととらえ返すこともできるであろう。
 その意味において、我々は2018年首脳合意を基礎にして、関係国が北東アジア非核兵器地帯の設立に向かうべきであることを改めて提案する。朝鮮半島と日本を含む領域を非核兵器地帯とし、それをとりまく米国、ロシア、中国が安全の保証を約束するという、3+3スキームを基礎に据えて、それを実現するための包括的アプローチに関して多くの専門家による研究がある[注20]。
 この関係国は、2003-2008年の6か国協議の構成国でもあることを考えると、6か国協議がこのことを議論する最適の場であることも、多くが一致するところであろう。また、2010-2011年に6か国協議の再開をめぐって、オバマ政権の米国と中国が協力し合った歴史もまた想起すべき教訓である。そのとき中国は、軍事的衝突で緊張を高めていた保守政権の韓国と北朝鮮の両国と個別に交渉し、3段階のプロセスを経て6か国協議に復帰する道筋をつけた[注21]。今日においても、米国と中国のどちらかのイニシャチブによる協力、歴史にならえばとりわけ中国のイニシャチブ、に期待するところが大きい。(梅林宏道、前川大、渡辺洋介)


注 1 「主体主義朝鮮の偉大な軍事力の目覚ましい示威:新型ICBM の発射実験成功」、『朝鮮中央通信』英語版2022年3月25日。
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm から日付により検索。
注 2 「朝鮮労働党第8期中央委員会第6回政治局会議が開催される」、『朝鮮中央通信』英語版2022年1月20日。
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm から日付により検索。
注 3 たとえば、「北朝鮮、ミサイル発射 今年9回目」『朝日新聞デジタル』、2022年3月6 日。https://digital.asahi.com/articles/DA3S15224936.html。また、このような論調の存在は研究者の指摘にもある。Richard WEITZ, "The Military Logic Behind North Korea’s Missile Medley,” 38 NORTH, March 14, 2022. 
注 4 「朝鮮型社会主義建設を新たな勝利に導く偉大な闘争方針──朝鮮労働党第 8 回大会で行った金正恩委員長の報告について」、『朝鮮中央通信』英語版、2021年1月9日。
http://www.kcna.co.jp/index-e.htm から日付により検索。
日本語抜粋訳:ピースデポ・アルマナック刊行委員会『ピース・アルマナック 2022』(緑風出版)、127 ページ。
注 5 注 4 と同じ。
注 6 米韓首脳共同声明(2022 年 5 月 21 日) 。
注 7 米韓首脳共同声明(2021 年 5 月 21 日)。
注 8  2022年5月25日の北朝鮮のミサイル発射に対して、同日、30機の韓国空軍のF15K が爆弾・ミサイルをフル搭載してエレファント・ウォークを行った。
David Choi & Hana Kusumoto, "US, South Korea respond to North Korea’s latest missile tests with launches of their own," STARS AND STRIPES, May 24, 2022。 
Choe Sang-Hun, "North Korea Launches Suspected ICBM and Two Other Ballistic Missiles," New York Times, May 24, 2022 
また、2022年6月5日の北朝鮮のミサイル発射に対して、6月7日、16機の韓国空軍戦闘攻撃機(F35A、F15K、KF16)と 4 機の米空軍 F16が黄海において攻撃型の編隊飛行を行った。
David Choi, "Allied fighter formations show resolve in wake of North Korean missile tests," STARS AND STRIPES, June 7, 2022
注 9 注 6 と同じ。
注 10 A/RES/76/262
注 11 “General Assembly Holds Landmark Debate on Security Council’s Veto of Draft Text Aimed at Tightening Sanctions against Democratic People’s Republic of Korea,” UN Meetings Coverage, GA/12423, 8 Jube 2022 
注 12 例えば、『すべての面におけるミサイル問題:国連事務総長報告』(国際連合、2003年、13頁)は、「現在、ミサイルに関するすべての点における懸念に具体的に取り組んだ普遍的に受け入れられた規範あるいは法的文書は存在しない」と結論づけている。 
注 15  梅林宏道「北朝鮮の核兵器―世界を映す鏡」(高文研、2021年9月)にまとめた表がある。147-149 ページ。
注 16  Yoon Suk Yeol, “Inaugural Address by President Yoon Yeol,” May 10, 2022 
注 17 注 6 と同じ。
注 18 注 6 と同じ。
注 19 Lee Haye-ah, “Yoon calls for int’l resolve to denuclearize N. Korea,” YONHAP NEWS, June 30, 
2022
注 20  Michael Hamel-Green, "An Alternative to Nuclear Deadlock and Stalled Diplomacy – Proposals, 
Pathways, and Prospects for the Northeast Asia Nuclear Weapon Free Zone," A Working Paper presented to The 75th Anniversary Nagasaki Nuclear-Pandemic Nexus Scenario Project, October 31–November 1, and November 14–15, 2020 (Japan Time)
注 21  注 15 と同じ、138-139 ページ。

監視報告 No.36

  監視報告 No.36   2022年12月26日 § 米韓合同軍事演習の中止表明が緊張緩和への第一歩となる    朝鮮半島の緊張緩和が求められている。  米韓合同演習は在日米軍・自衛隊を巻き込んでエスカレートし、朝鮮人民民主主義共和国( DPRK 、北朝鮮)は核戦力政策法を制...