「朝鮮中央通信」記事
DPRK外務省米国研究所が米国に愚かな妄想を捨てるよう警告
平壌、2018年11月2日(朝鮮中央通信) DPRK外務省米国研究所クォン・ジョングン所長は、金曜日(11月2日)、「米国はいつになったら愚かな貪欲と妄想から目を覚ますのか」と題する論評を発表した。
論評の全文:
米国はいまだに、執拗な強迫観念に悩まされるノイローゼにかかっている。
橋の下では多くの水が流れたが、米国はいまだにDPRKへの圧力にこだわり、「まず非核化せよ、制裁解除はその次だ」とわめいている。
2国間関係の改善のための米朝交渉が平壌で行われ、国際社会が9月平壌共同宣言に興奮している同じ時に、ホワイトハウスや米政権の高官たちは、連日、「DPRKが非核化するまで制裁を続けるべきだ」と主張している。
米国はDPRKに対する国際的制裁の失敗を心配し、しばしば制裁に関する「警告」を発し、DPRKに関連すると見られる対象物に、国籍を問わず制裁を科している。
米国は、南北関係の改善を米朝核交渉の速度に合わせて進め、南北協力事業を進める前に米国に具体的な計画と日程を知らせ、制裁違反の可能性について確認するよう韓国にプレッシャーを加えている。
これがDPRKと米国の敵対的関係を取り除き、関係改善の新しい歴史を作る方法だろうか。
我々は米国に対し、朝鮮半島と世界の平和のための世紀のプロジェクトが、そのような方法で行われるべきだろうかと問わざるを得ない。
DPRKと米国のトップリーダーが6月の歴史的なシンガポール会談において手を握りながら約束したことは、米朝間の世紀をまたぐ敵対関係を終わらせ、関係改善の新しい歴史を作ることだ。
それは、会談が全世界から賞賛され、支持された理由である。
米国は主要な課題である米朝関係の改善と平和実現という基本的な軌道から逸れ、シンガポールで確認された目的を見失い、「最大限の圧力による非核化」へと走っている。
制裁に正当性はない。シンガポールで行われた世紀の首脳会談は、DPRKの積極的で先手を取った措置によって実現した。しかし米国は未だに制裁と圧力に訴えている。
米国は約束したことを忘れてはならない。
関係改善と制裁は相いれない。
「友好」は「圧力」と矛盾する。
疑う余地なく、米国は制裁と圧力は交渉を有利にすると確信している。ばかげているにも程がある。
文明の時代において、暴力的に相手を傷つけることが交渉を有利にするという米国の考え方は、今も中世にとどまっていると言える。
米国は、繰り返し言及する「制裁と圧力」が「非核化」をもたらすと考えている。我々はこのような愚かな考えを嘲笑せずにはいられない。
米国は今こそ、DPRKが制裁に屈服して交渉の席に現れたという愚かな考えを捨てるべきだ。
米国は、対話でのDPRKの反応は厳しい制裁を免れるためのものであり、制裁は非核化の完了まで取り除かれないと主張している。米国の主張は、朝鮮の中学生にも嘲笑われる。
米国は、DPRKを孤立化させ息の根を止めるための「戦略的忍耐」も、核による恐喝も、軍事的脅威や集中攻撃もDPRKに対して効果がなく、米国本土への核の脅威は時間の問題であると理解した後に、交渉の場に現れたことを認めるべきだ。
ところが、米国はDPRKが制裁に屈して交渉の場に現れたと考えている。この愚かな判断は、世界の人々を唖然とさせている米国の全ての悲喜劇の要因である。
米国は愚かな考えを捨て、率直に内心を打ち明けない限り、哀れな運命から抜け出せない。
米国は我々の警告を信じられないのなら、たわごとを言う前に米朝交渉の記録を確認するようにと忠告したい。
DPRKが米国との交渉に現れるのは、DPRKの国力が十分に誇示され、軍事力が最大となった時であり、DPRKが他からの圧力にさらされた時ではないということを歴史の記録は示すだろう。
米国は、米朝関係の改善は非核化にかかっているという間違った認識に世論を誘導するのを止めるべきだ。
米朝関係修復のためと称しながら、申告とか検証といった非核化のための様々なものを手当たりしだいに求めることによって、米国はDPRKの非核化が全てを解決すると世界の人々に信じさせ、混乱させようとしている。
我々の疑問は、DPRKの核問題が本当に、朝鮮半島の緊張と悪化した米朝関係を含む全ての複雑な問題を引き起こす病根だろうかということだ。
この文脈では、仮定法が真実の証明を助ける。
DPRKの核問題が「根本原因」だと主張する米国が正しいと仮定しよう。もしそうなら、DPRKが核開発を始める前に「素晴らしい光景」が出現していたにちがいない。言い換えれば、米朝関係は比べようもなく改善され、朝鮮半島は何十年も前に戦争の脅威から開放された平和の地となっていなければならない。そしてDPRKの核へのアクセスが、「これら全ての良いこと」を消滅させ「全ての悪いこと」をもたらしたと言わなければならない。
米国はこれを説明できるだろうか。どんな鉄面皮な者でも赤面して口ごもるだろう。
歴史は世界に対してはっきりと示している。朝鮮の分断をもたらし、戦後も軍事的威嚇と核による脅しが続く戦争をもたらした米国の韓国駐留がなければ、朝鮮半島の核問題は最初から起きなかった。
示された通り、米国は核問題を含む朝鮮半島の全ての問題について責めを負う。したがって、これらすべての問題を引き起こした者が問題を解決すべきだ。
国連も、制裁は変更できないものではないと発表した。
それでも、米国はDPRKへの「最大限の圧力」を叫び、「非核化を果たすまでDPRKに与えるものは何もない」と主張している。これはまるで、罪のある側が先に訴えを起こしているかのようだ。
米国は一刻も早く正気に戻り、理性的で合理的に振る舞い、対抗している相手が誰であるかを正しく理解すべきだ。
米国は70年間もDPRKの壁に頭を突っ込んだが、DPRKには何の変化もなく、米国は頭をひどく傷めていると言った先人たちの苦難を知り、米国はDPRKに圧力を加えるという自己破壊的行動を止めるべきだ。
数日前に国連で聞こえたのは、「世界は『信頼喪失』と称する悪い病気にかかり、各国の信頼と世界秩序への信頼が危機に陥っている。我々は恐れではなく事実の根拠を、思い違いではなく理性を強化すべきだ」という嘆きと警告である。米国はこの嘆きと警告に耳を傾けるべきだ。
厳しい制裁を続けさえすれば、強い独立意識を持ったDPRKが非核化のための一方的な要求を受け入れるという期待は大きな間違いであり、米朝交渉は相互利益と対等性に基づいた、同時進行的で段階的な方法で行われるべきだという国際社会の助言を、米国は受け入れるべきだ。
我々が率先した善意ある措置によって、米国に対して可能な全てのことを過分なほどに行った今、残されているのは米国による相応の対応だ。
何の対応もなければ、DPRKはどんなにコストが大きかろうと、1ミリであっても動かない。
米国が我々の繰り返してきた要求を正しく理解せず、姿勢を変えずに傲慢に振る舞い続ければ、DPRKは経済建設に全力を注ぐという4月に制定された国家路線に一つのことを付け加え、結果として、「並進」(経済建設と核戦力強化を同時に進めること)という言葉が再び登場し、路線変更が真剣に再考されることになるだろう。
DPRKではそのような見方がすでに現れ始めているということを心に留めておくべきだ。
DPRKは長らく、忍耐強く待ってきた。しかし、DPRK自身以外には取り巻く周辺は何も変わらなかった。
米国は、高望みと一方的な視点を捨てることによってのみ、自身と世界に害を与える悲惨な未来から身をかわすことができる。(英文からの訳:ピースデポ)